社会問題とまでなっているひきこもりですが、現在では子どもや
学生だけでなく、成人してからのひきこもりも報告されており、
誰もがいつでもそれに陥ってしまう可能性が否定できないものとなっています。
しかし、対人関係に恐怖心を抱きやすい傾向にあると言われている
どもりの症状を抱えている人の全てが、ひきこもる事を選択しやすいかと言えば、
それは間違いであると言えるようです。
どもりの症状は、これを自覚したことによって症状の悪化傾向が見られるものではありますが、
逆にどもりを自覚したからこそ出てくる選択肢もあるのです。
自分のどもりを受け入れた上で、症状が仕事の妨げとならないような職業を選択したり、
どもりを否定・拒絶しない友人やパートナーを選ぶことができるようになります。
こうした選択をすることは、一見するとどもりの治療を放棄しているように見えるかもしれませんが、
これを「逃げ」と捉えるのではなく、自分の現状を正しく認識し、適応していくための選択をするということは、
とても重要な事だと思います。
自分の現状を認識できず、否定してばかりいては、どもりを必要以上に気に病み、
他人の反応に対して悲観的になったり、中傷されていると思い込み、恐怖心を抱くようになってしまいます。
そこから対人恐怖症やうつ病にまで発展し、学校や職場に行くことが出来なくなるケースも少なくありません。
どもりの症状は、面と向かって会話することに不都合はありますが、現代ではインターネットの普及により、
仕事や社会生活においてパソコンを使うことで問題無くコミュニケーションを取ることも可能となっています。
パソコンというツールを使えるようになったことで、どもりが障害とならず、自分の言いたいことを
他者に伝えることが可能となったのですから、画期的な変化をどもり症の人にもたらしたと言えますね。
しかし一方で、パソコンの普及がひきこもりの一因となっている事も否定できません。
どもり症の人だけでなく、自分の考えを面と向かって発言することの出来ない人が増加していると言われていますが、
パソコンが発言や発信のためのツールとしてもたらした効果は大きなものでした。
その効果ゆえに、パソコンがひきこもりの原動力となってしまっている現状は、皮肉としか言えませんね。